整形外科領域の主な疾患
脊椎疾患
腰部脊柱管狭窄症
疫学
腰部脊柱管狭窄症は、主に高齢者に多く見られる疾患です。50歳以上の成人の約10〜15%に発症するとされ、高齢者の約1/3程度が症状の有無によらずこの状態であるとされています。
原因
靭帯の肥厚:後縦靭帯や黄色靭帯が肥厚し、脊柱管内のスペースが狭くなります。
骨棘の形成:椎間関節の変形により、骨棘(骨の突起)が形成され、脊柱管が狭くなります。
椎間関節の変性:椎間関節の変形により、脊柱管が狭くなり、神経を圧迫します。
先天性の要因:先天的に脊柱管が狭い場合もあります。
症状
腰痛:慢性的な腰痛が最も一般的な症状です。痛みは立ち上がりや歩行時に悪化することがあります。
下肢のしびれや痛み:神経が圧迫されることで、脚や足にしびれや痛みが放散することがあります。これらの症状は特に長時間の歩行や立位で顕著になります。
間欠性跛行:歩行中に痛みやしびれが悪化し、しばらく休むと症状が軽減する特徴的な症状です。これにより、長距離を歩くことが難しくなります。
筋力低下:神経の圧迫が進行すると、下肢の筋力低下が見られることがあります。
排尿・排便障害:重度の場合、膀胱や直腸の機能に影響を及ぼし、排尿や排便に問題が生じることがあります。
治療
腰部脊柱管狭窄症の治療法は保存療法と手術療法に分けられます。
薬物療法: 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や神経痛に特化した鎮痛剤(プレガバリン・ミノガバリンなど)を使用して、痛みと炎症を軽減します。
理学療法:筋力強化と柔軟性を向上させるためのエクササイズが推奨されます。特に、腰椎の安定性を高める運動が効果的です。
生活指導:日常生活での姿勢の改善や、無理のない範囲での活動を促します。
神経ブロック:ステロイドや局所麻酔薬を神経周囲に注射し、痛みを軽減します。
超音波下ハイドロリリース:脊髄神経への液性剥離は現在は十分な効果は得られていませんが、比較的安全に思考可能です。
手術療法:保存療法が効果を示さない場合や、神経症状が進行する場合には手術が検討されます。
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- 脊椎疾患の手術について①
- 脊椎疾患の手術について②
腰椎変性すべり症
腰椎変性すべり症は、主に中高年の女性に多く見られる疾患です。特に50歳以上の女性に多く、60歳以上の女性の約25%がこの疾患を抱えているとされています。また、腰椎の特定の部位、特にL4-L5の椎間で最も頻繁に発生します。
原因
原因は腰部脊柱管狭窄症での変性が椎間板・椎間関節につよく生じて不安定性が出現し、これが進行するとすべり症と診断されます。
症状
腰部脊柱管狭窄症と同様であり腰痛の出現頻度が多少増加します。
治療
腰部脊柱管狭窄症の治療と同様であり、手術治療ではチタン製インプラントを用いた脊椎固定術が一般的に選択されます。
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腰椎椎間板ヘルニア
疫学
腰椎椎間板ヘルニアは、20〜50歳の成人に最も多く見られ、男性の発症率が女性よりもやや高い傾向があります。全人口のうち、約2〜3%が何らかの形で腰椎椎間板ヘルニアを経験するとされています。
原因
椎間板の加齢変性:椎間板は加齢とともに水分を失い、弾力性が低下します。これにより、外部からの圧力に対して脆弱になり、容易に損傷します。
外傷:重い物を持ち上げる際の不適切な姿勢や急な動き、スポーツによる外傷が椎間板に過度な負担をかけ、ヘルニアを引き起こすことがあります。
遺伝的要因:家族に椎間板ヘルニアの既往がある場合、遺伝的な要因で発症リスクが高まることがあります。
姿勢の悪さ:長時間の座り仕事や不適切な姿勢が腰椎に過度な負担をかけることで、椎間板が損傷しやすくなります。
症状
腰痛:急性または慢性的に現れることがあります。
下肢の痛み(坐骨神経痛):椎間板の突出が神経根を圧迫すると、脚や足に痛みが放散します。この痛みは通常、片側に現れ、鋭い痛みや電撃様の痛みを伴います。
下肢のしびれや感覚異常:神経圧迫により、脚や足のしびれ、感覚の鈍麻、チクチクした感覚が生じることがあります。
筋力低下:圧迫された神経が支配する筋肉の筋力低下が見られることがあります。重症の場合、歩行困難や足の麻痺を引き起こすことがあります。
膀胱・直腸機能障害:非常に稀ですが、重度のヘルニアでは、馬尾症候群(Cauda Equina Syndrome)として知られる緊急状態が発生し、膀胱や直腸の機能障害が見られます。
治療
腰椎椎間板ヘルニアの治療法は保存療法と手術療法に分けられます。
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、鎮痛薬、筋弛緩薬を使用して痛みと炎症を軽減します。
理学療法:筋力強化と柔軟性向上を目的としたエクササイズを行い、腰椎の安定性を高めます。
生活指導:正しい姿勢の維持や適切な持ち上げ方の指導、無理のない範囲での活動を推奨します。
神経ブロック:ステロイドや局所麻酔薬を神経周囲に注射し、痛みを軽減します。
手術療法:椎間板摘出術が一般的に行われ、安定した治療成績が報告されています。
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脊椎圧迫骨折
疫学
脊椎圧迫骨折は、高齢者に多く見られる骨折の一つで、特に女性に多く発生します。骨粗鬆症による脆弱性骨折として発生することが有名で、60歳以上の女性の約3割が経験するとされています。また、一度骨折をした人は10倍以上の確率で再骨折をおこすとされており、注意が必要です。
原因
骨粗鬆症:骨粗鬆症は、骨密度が低下し、骨が脆くなる状態です。これにより、軽微な外力でも圧迫骨折が発生しやすくなります。高齢者や閉経後の女性に多く見られます。
外傷:交通事故や転倒などの外力が直接的に脊椎に加わることで、圧迫骨折が生じることがあります。
がんの骨転移:がんが骨に転移し、骨を弱くすることで圧迫骨折が発生することがあります。特に、乳がんや前立腺がん、多発性骨髄腫などが骨転移を引き起こします。
その他の疾患:骨軟化症やクッシング症候群など、骨の強度を低下させる疾患が圧迫骨折のリスクを高めます。
症状
急性の背中や腰の痛み:突然の鋭い痛みが主な症状です。痛みは動作や体位変換で悪化することが多いです。
姿勢の変化:複数の圧迫骨折があると、背中が丸くなる(亀背)ことがあります。これにより、身長の減少が見られることもあります。
運動制限:痛みにより、日常生活の動作が制限され、活動性が低下します。
神経症状:稀に、骨折片が脊髄や神経根を圧迫し、下肢のしびれや筋力低下、排尿・排便障害などの神経症状が現れることがあります。
治療
装具療法: コルセットやブレースを装着し、脊椎を支持し安定させます。保存・手術治療のどちらを選択しても、この治療は絶対に必要です。
骨粗鬆症治療:骨密度を改善する薬(テリパラチド・ロモソズマブ・ビスホスホネート、ビタミンDなど)を使用します。
リハビリテーション:痛みが軽減した後、筋力と柔軟性を回復させるための運動療法を行います。これにより、再発予防と機能回復が図られます。
手術療法:病態によって手術方法は様々ですが、骨折の単独治療であれば経皮的椎体形成術(BKP)、すでに脊柱変形まで進行している場合はLIF技術を用いて脊椎固定術後などが選択されます。
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感染性脊椎炎
尿路や呼吸器の感染症の治療後、歯科や心臓手術の術後に起こる感染症で、免疫状態が低下した方(癌治療中・高齢・糖尿病など)に好発します。発生は腰椎に多く、慢性腰痛に一定の確率で、感染性脊椎炎が混じっているとされています。
安静と抗菌剤の点滴が原則ですが、感染の治癒が遷延する際や神経の圧迫・骨破壊が強い際は手術が必要になります。
癌の脊椎転移
近年、癌治療の進歩に伴い余命が延長され、脊椎転移の数も増加しています。脊椎転移の多くは、抗癌剤や治療に放射線治療の適応となりますが、神経の圧迫や転移した椎体の骨折(病的骨折)が生じると突然、強い痛みや上下肢の麻痺などが出現することがあります。また、将来的に症状が出現する可能性が高い場合、予防的に手術をすることも多くなっています。
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思春期特発性側弯症
疫学
思春期特発性側弯症は、10歳から18歳の成長期に発症する脊柱の湾曲とねじれを特徴とする疾患です。全人口の約2〜3%がこの疾患を持つとされており、特に思春期の女性に多く見られます。女性は男性よりも約8倍発症しやすいとされています。また、家族歴がある場合、発症リスクが高まることが知られています。
原因
遺伝・神経筋の不均衡などが原因とされていますが、正確な原因は不明です。
症状
基本的に無症状ですが、側弯の進行に伴い、ウェストライン・肩・肩甲骨ラインの左右差が出現するため整容上の問題が発生します。
治療
経過観察➡装具療法➡手術療法の順で行われますが、当院では装具治療からは提携病院を紹介することで専門的な治療を受けてもらうようにしています。
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成人脊柱変形(変性側弯)
疫学
成人脊柱変形は、特に高齢者に多く見られる疾患で、加齢に伴う脊柱の変性が原因となります。成人の約6〜10%が何らかの脊柱変形を有するとされています。
原因
椎間板・椎間関節の変性:加齢に伴い椎間板や椎間関節が劣化し、弾力性が失われることで脊柱の安定性が低下します。これにより、椎体が不安定になり、側方への湾曲が生じます。
骨粗鬆症:骨密度の低下により、脊椎が脆くなり、椎体の圧迫骨折や変形が生じやすくなります。これが脊柱の湾曲を助長します。
筋肉と靭帯の弱化:加齢に伴う筋力低下や靭帯の弛緩が脊柱の支持力を減少させ、変形を進行させます。
症状
腰痛:慢性的な腰痛が最も一般的な症状です。特に長時間の立位や歩行で痛みが悪化します。
下肢のしびれや痛み:神経が圧迫されることで、脚や足にしびれや痛みが放散します。これらの症状は特に歩行時に顕著になります。
姿勢の変化:身体が左右に傾いたり、腰や背中が丸くなる(亀背)ことがあります。
歩行困難:おもに体幹が前傾してしまうことで歩行が困難となり、進行すると掃除や調理の際もたっていることが困難になってきます。
筋力低下:神経の圧迫が進行すると、下肢の筋力低下が見られることがあります。
治療
成人脊柱変形の治療法は保存療法と手術療法に分けられます。
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬を使用して痛みと炎症を軽減します。
理学療法:筋力強化と柔軟性向上を目的としたエクササイズを行い、脊柱の安定性を高めます。
神経ブロック:ステロイドや局所麻酔薬を神経周囲に注射し、痛みを軽減します。
手術療法:手術方法は病態によって様々ですが、高齢者の場合は主にLIF技術を用いた低侵襲技術が用いられます。
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頚椎症性脊髄症・神経根症
疫学
頚椎症性脊髄症および頚椎症性神経根症は、頚椎の変性によって引き起こされる疾患です。これらは特に50歳以上の中高年層に多く見られ、男女ともに発症しますが、男性の方がやや多い傾向があります。
原因
椎間板の変性:加齢により椎間板が水分を失い、弾力性が低下します。これにより椎間板が潰れ、脊髄や神経根を圧迫することがあります。
骨棘の形成:椎間関節や椎体の変性に伴い、骨棘(骨の突起)が形成され、神経を圧迫します。
靭帯の肥厚:黄色靭帯や後縦靭帯が肥厚し、脊髄や神経根の通り道を狭くします。
脊椎の変形:加齢やその他の要因により、脊椎自体が変形し、頸椎への過剰な負荷が生じた際に起こるとされています。
症状
首から肩、腕にかけての痛み:痛みは神経根の圧迫部位により異なりますが、通常は片側の肩から腕にかけて放散します。
しびれや感覚異常:圧迫された神経の支配領域にしびれや感覚の鈍麻が生じます。
筋力低下:圧迫された神経が支配する筋肉の筋力低下が見られることがあります。
腱反射の異常・病的反射の出現:症状は進行すると反射の亢進・減弱がみられます。また、手指の病的反射(hoffman反射)なども出現することがあります。
巧緻運動障害:しびれや筋力低下とは別で神経障害によって手指の動かしにくさが出現します。おもに頚椎症性脊髄症で発生しますが、難治性で手術が必要になる可能性が高い症状です。
歩行障害:主に頚椎症性脊髄症の症状が進行すると下肢の運動障害も出現し、歩行障害・膝崩れなどが出現します。
治療
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬を使用して痛みと炎症を軽減します。また、筋弛緩薬や神経障害性疼痛薬が使用されることもあります。
理学療法:筋力強化と柔軟性向上を目的としたエクササイズを行い、首や肩の筋肉を強化します。頚椎の安定性を高めるための運動が推奨されます。
装具療法:頚椎カラーを装着して首の動きを制限し、痛みの軽減を図ります。
生活指導:正しい姿勢の維持や適切な作業環境の整備を指導します。
手術療法:保存療法が効果を示さない場合や、神経症状が進行する場合には手術が検討されます。
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頸椎椎間板ヘルニア
頸椎椎間板ヘルニアは、頸椎の椎間板が損傷し、髄核が外部に突出することにより、神経根や脊髄を圧迫してさまざまな症状を引き起こす病態です。腰椎よりも発生頻度は少ないとされ、交通事故やスポーツ外傷などの外傷歴がある場合や加齢に伴う変性によって発症します。症状は頚椎症性脊髄症・神経根症と同様で多彩に生じます。治療は、原則は保存治療であり、治療に抵抗する際には手術を検討します。
頚肩腕症候群
疫学
頚肩腕症候群は、首、肩、腕にかけての痛みやしびれ、だるさなどの症状を引き起こす疾患で、中高年の男女に広く見られます。特にデスクワークやパソコン作業を長時間行う職業の人々に多く発症し、日本では職業病としても認識されています。疫学的には、特に40〜60歳の年齢層に多く見られ、女性に多い傾向があります。
原因
頚肩腕症候群の原因は多岐にわたりますが、
姿勢の悪さ:長時間の不適切な姿勢(前かがみの姿勢や猫背)が首や肩の筋肉に負担をかけ、筋緊張が引き起こされます。
デスクワーク:パソコン作業や事務作業など、長時間にわたるデスクワークが筋肉や靭帯に過度な負担をかけます。
運動不足:運動不足により筋力が低下し、筋肉や靭帯が疲労しやすくなります。
ストレス:精神的ストレスが筋肉の緊張を引き起こし、痛みやしびれの原因となります。
その他の要因:頚椎の変性、椎間板ヘルニア、神経根の圧迫、骨棘の形成などが痛みやしびれを引き起こすことがあります。
症状
首の痛み:首の後ろや側面に痛みが感じられ、動かすと悪化することがあります。
肩の痛み:肩全体や肩甲骨周囲に痛みが広がり、動かすと痛みが増すことがあります。
腕や手のしびれ:上腕から前腕、手指にかけてしびれやだるさを感じることがあります。
動作の制限:痛みやしびれにより、首や肩、腕の動きが制限されることがあります。
筋力低下:神経の圧迫が進行すると、腕や手の筋力低下が見られることがあります。
治療
生活指導・職場での姿勢指導などから始まり、頚椎症や肩関節周囲炎の応じた治療が行われます。
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靭帯骨化症(後縦靭帯骨化症・黄色靭帯骨化症)
疫学
靭帯骨化症は、靭帯が骨化し硬化する疾患で、特に後縦靭帯骨化症(Ossification of the Posterior Longitudinal Ligament, OPLL)と黄色靭帯骨化症(Ossification of the Ligamentum Flavum, OLF)が代表的です。これらの疾患は主に日本や東アジアの地域で多く見られ、特に中高年の男性に多い傾向があります。
原因
遺伝的要因・代謝異常・微細な炎症・機械的ストレスで生じるとされていますが、正確な原因は不明です。
症状
頚部・背部・腰部痛:首の痛みが主な症状で、時に背中や肩に広がることがあります。
神経症状:神経が圧迫されることで、圧迫されている高位に応じて上肢や下肢にしびれや筋力低下、感覚異常が生じることがあります。
歩行困難:脊髄の圧迫が進行すると、歩行が不安定になり、重症の場合には歩行困難が見られます。
治療
症状は軽症であれば保存治療が選択され主に内服治療がされます。病状が進行した場合、進行の予防する場合に手術が選択されます。
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膝関節疾患
変形性膝関節症
疫学
変形性膝関節症は、加齢変性によって関節の軟骨が徐々に摩耗し、骨と骨が直接接触することで痛みや炎症を引き起こす慢性の関節疾患です。主に中高年に多く見られ、特に女性に多い傾向があります。日本では、65歳以上の約半数が何らかの膝関節症を抱えているとされ、特に70歳以上の女性の発症率が高いとされています。
原因
加齢:年齢とともに関節の軟骨が摩耗し、変形性膝関節症のリスクが高まります。軟骨は再生能力が低いため、損傷が蓄積しやすくなります。
肥満:体重が増えると膝関節への負担が増加し、軟骨が摩耗しやすくなります。肥満は変形性膝関節症の主要なリスク要因です。
遺伝的要因:家族に変形性膝関節症の既往がある場合、発症リスクが高くなることがあります。
過度な使用:職業やスポーツ活動で膝関節を過度に使用することが原因となることがあります。特に膝に大きな負荷がかかる動作を繰り返すと、軟骨が摩耗しやすくなります。
症状
痛み:膝の痛みが最も一般的な症状で、特に運動時や長時間の立位で悪化します。休息時には痛みが軽減することがありますが、進行すると安静時にも痛みを感じるようになります。
腫れと炎症:膝関節が腫れ、熱感を伴うことがあります。関節液が増加し、外観上も膝が腫れてきます。
可動域の制限:膝の動きが制限され、曲げ伸ばしが困難になります。特に朝起きた時や長時間座った後に硬直感が強くなります。
変形:膝の形が変形(主にO脚)になることがあります。これにより歩行が不安定になります。
治療
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬を使用して痛みと炎症を軽減します。
関節注射:軟骨の保護・修復を目的としたヒアルロン酸注射ステロイド剤も使用されます。
理学療法:筋力強化と柔軟性向上を目的としたエクササイズが推奨されます。特に大腿四頭筋の強化が重要です。
生活指導:体重管理や膝に負担をかけない姿勢の指導、適切な運動の提案が行われます。
装具療法:膝サポーターやインソールを使用して関節の負担を軽減します。
人工膝関節置換術:保存療法が効果を示さず、痛みが強く生活の質が低下している場合に、損傷した関節を人工関節に置換する手術が行われます。この手術は膝関節の機能を回復させ、痛みを大幅に軽減する効果があります。
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- 人工膝関節置換術とは?ひざの病気と治療法を医師が解説
半月板損傷
半月板損傷は、膝関節の内側および外側の半月板が裂けたり破れたりすることで発生する傷害です。若年ではスポーツ選手やアスリートによく見られますが、中高年の方で半月板の変性が進行した結果、損傷が増加します。
原因
外傷性損傷:スポーツや事故で膝が強くねじれたり、急激な方向転換を行ったりした際に発生します。膝が曲がった状態で捻る動作が主な原因です。
変性損傷:年齢とともに半月板が摩耗し、脆くなることで発生します。中高年では、軽度の外力や日常的な動作でも損傷が生じやすくなります。
症状
痛み:急性期には膝関節の内側または外側に鋭い痛みを感じます。慢性期には、運動時や体重をかけた時に痛みが生じることがあります。
腫れ:損傷直後や運動後に膝が腫れることがあります。腫れが引かない場合、関節内に液体が溜まっている可能性があります。
可動域の制限:膝を完全に伸ばしたり曲げたりすることが困難になります。膝のロック(関節が引っかかる感じ)が発生することがあります。
不安定感:膝がガクガクする、不安定に感じる、または崩れやすいという感覚が生じます。
クリック音や引っかかり感:膝を動かすときにクリック音や引っかかる感じがすることがあります。これは損傷した半月板の一部が関節内で動いているためです。
ロッキング:半月板の損傷が進行し弁状の断裂になると関節内で引っ掛かりが起きて伸展障害と激痛が起こることがあります。麻酔下にもどすことは可能ですが手術になることもあります。
治療
薬物療法:NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用して痛みと炎症を軽減します。
関節内注射:ヒアルロン酸やストロイドも注射することで痛みが改善します。
理学療法:筋力強化と柔軟性向上を目的としたエクササイズを行います。特に大腿四頭筋とハムストリングスの強化が重要です。
関節鏡視下手術:半月板の損傷部位を修復するために、関節鏡視下で手術を行います。損傷が軽度の場合は部分切除、重度の場合は縫合手術が行われます。
股関節疾患
変形性股関節症
疫学
変形性股関節症は、股関節の発育性の形成不全や加齢変性によって、軟骨の表面に磨耗が起こり、軟骨が変性します。軟骨のすり減りが徐々に進み、骨と骨の隙間が減り、関節に炎症反応がひきおこされ、痛みや骨頭・寛骨臼の変形をきたすようになります。
原因
加齢:年齢とともに関節の軟骨が摩耗し、変形性股関節症のリスクが高まります。軟骨の再生能力が低下するため、損傷が蓄積しやすくなります。
遺伝的要因:家族に変形性関節症の既往がある場合、発症リスクが高くなることがあります。特定の遺伝的要因が関与している可能性があります。
先天性股関節形成不全:股関節が正常に形成されない先天性の異常がある場合、変形性股関節症を発症しやすくなります。
肥満:体重が増えると股関節への負担が増加し、軟骨が摩耗しやすくなります。肥満は変形性股関節症の主要なリスク要因です。
症状
痛み:股関節の痛みが最も一般的な症状で、特に運動時や体重をかけた時に悪化します。進行すると、休息時や夜間にも痛みが生じることがあります。
可動域の制限:股関節の動きが制限され、曲げ伸ばしや回旋が困難になります。特に、階段の昇降や靴下を履く動作が難しくなることがあります。
変形:股関節の形が変形し、脚の長さが変わることがあります。これにより歩行が不安定になり、跛行が見られることがあります。
治療
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬を使用して痛みと炎症を軽減します。
理学療法:筋力強化と柔軟性向上を目的としたエクササイズを行います。特に股関節周囲の筋力を強化することが重要です。
生活指導:体重管理や股関節に負担をかけない姿勢の指導、適切な運動の提案が行われます。
装具療法:股関節サポーターやインソールを使用して関節の負担を軽減します。
人工股関節置換術:保存療法が効果を示さず、痛みが強く生活の質が低下している場合に、損傷した関節を人工関節に置換する手術が行われます。この手術は股関節の機能を回復させ、痛みを大幅に軽減する効果があります。
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- 股関節疾患の手術について
臼蓋形成不全
臼形成不全とは、寛骨臼(股関節の受け皿)の形成が不十分で、被覆が浅い(股関節の屋根が浅い)疾患です。アジア人(特に日本人)の女性に多いことがこの疾患の特徴です。荷重部が狭く、部分的に負荷がかかり、その状態が続くとその部分の軟骨がすり減っていきます。臼蓋形成不全の方は、体重を支えるのに力学的に不利な状態にあるので、変形性股関節症に移行するリスクが高くなります。
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関節唇損傷
股関節唇損傷は、大腿骨と臼蓋の衝突(インピンジメント)によって発生します。FAI(Femoro-Acetabular Impingement)には、Cam-typeとPincer-typeがあり、骨同士がぶつかり合うことで関節唇や軟骨の損傷を引き起こします。 治療はリハビリテーション、鎮痛薬の投薬、注射などの保存的治療を行い、それでも痛みが改善しない場合は手術加療を検討します。
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急速破壊型股関節症
英語で「Rapidly Destructive Coxarthropathy」と表記され略して「RDC」と言われています。比較的正常な股関節の方が、半年から1年以内という短期間で急激に股関節の変形が進み破壊されてしまいます。65~70歳以上の高齢女性に多くみられ、骨粗鬆症や時には脊椎変形とも関連していると考えられています。症状としては初期から股関節に痛みがあり、骨破壊の進行とともに痛みが強くなります。
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大腿骨壊死
疫学
大腿骨壊死は、骨頭(股関節内)・顆部(膝関節内)で起こり、骨頭壊死の頻度が多いとされ、腿骨頭の血流が途絶えることにより骨組織が壊死する疾患です。日本では年間約3,000〜5,000人が発症するとされており、40〜60歳代の男性に多く見られます。性別では男性の発症率が女性よりも高い傾向があります。早期に診断し治療を行わないと、股関節の変形や機能障害を引き起こすことがあります。
原因
外傷:大腿骨頚部骨折や脱臼などの外傷が大腿骨頭への血流を遮断することがあります。
アルコールの過剰摂取:長期間にわたる大量のアルコール摂取は、脂肪肝を引き起こし、血流障害をもたらします。
ステロイド薬の使用:長期間のステロイド薬使用は、脂質代謝異常を引き起こし、血流障害を誘発することがあります。
血液疾患:鎌状赤血球症などの血液疾患は、血管内の血液流動性を低下させ、血流障害を引き起こすことがあります。
自己免疫疾患:全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患は、血管炎を引き起こし、血流障害を誘発することがあります。
原因不明(特発性):明確な原因が特定できない場合もあります。
症状
痛み:股関節の痛みが最も一般的な症状で、特に運動時や体重をかけた時に悪化します。進行すると、休息時や夜間にも痛みが生じることがあります。
可動域の制限:股関節の動きが制限され、曲げ伸ばしや回旋が困難になります。特に、階段の昇降や靴下を履く動作が難しくなることがあります。
変形:股関節の形が変形し、脚の長さが変わることがあります。これにより歩行が不安定になり、跛行が見られることがあります。
治療
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬を使用して痛みと炎症を軽減します。
理学療法:筋力強化と柔軟性向上を目的としたエクササイズを行います。特に股関節周囲の筋力を強化することが重要です。
生活指導:体重管理や股関節に負担をかけない姿勢の指導、適切な運動の提案が行われます。
装具療法:股関節サポーターやインソールを使用して関節の負担を軽減します。
人工股関節置換術:保存療法が効果を示さず、痛みが強く生活の質が低下している場合に、損傷した関節を人工関節に置換する手術が行われます。この手術は股関節の機能を回復させ、痛みを大幅に軽減する効果があります。
肩関節の疾患
肩関節周囲炎(四十・五十肩・凍結肩)
疫学
肩関節周囲炎、通称「四十肩・五十肩」または「凍結肩」は、肩関節の周囲の組織に炎症が起こり、痛みや可動域の制限を引き起こす疾患です。主に40〜60歳の中高年に多く見られ、特に女性に多い傾向があります。
原因
肩関節周囲炎の正確な原因は不明ですが、いくつかの要因が関与していると考えられています。
加齢:年齢とともに関節や周囲の組織が劣化し、炎症が起こりやすくなります。
外傷:軽度の外傷や過度な使用によって、肩関節の周囲組織に損傷が生じ、炎症が発生することがあります。
運動不足:長期間の運動不足により、肩関節周囲の筋肉や靭帯が硬化し、炎症が起こりやすくなります。
糖尿病:糖尿病患者は肩関節周囲炎を発症するリスクが高いとされています。
その他の疾患:甲状腺機能低下症や心血管疾患などがリスク要因となることがあります。
症状
炎症期:肩関節の痛みが徐々に増し、特に夜間に強くなることが多いです。痛みは動作時に増強し、安静時には軽減することがあります。
拘縮期:痛みが次第に減少する一方で、肩関節の可動域が著しく制限されます(この状態が凍結肩)。腕を上げたり、背中に手を回したりする動作が困難になります。
回復期:痛みがほとんどなくなり、徐々に可動域が回復してきますが、完全に元の状態に戻るには数ヶ月から数年かかることがあります。
治療
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬を使用して痛みと炎症を軽減します。
関節注射:主に炎症期に関節へ注射をすることで炎症を軽減させます。
理学療法:筋力強化と柔軟性向上を目的としたエクササイズを行います。特に肩関節周囲の筋肉を強化し、可動域を広げるためのストレッチが重要です。
生活指導:正しい姿勢の維持や適切な作業環境の整備を指導します。痛みを悪化させないような日常動作の工夫も必要です。
超音波下ハイドロリリース
腱板炎/損傷・石灰沈着性腱板炎
疫学
肩関節の関節内に停止する筋肉のうち棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋の4つをまとめて腱板と呼び、これらの筋肉で肩関節の運動に伴って炎症が起こることを腱板炎と言います。さらに炎症が蓄積された際に、関節内に石灰が沈着することがあります。石灰沈着性腱板炎は40〜60歳の成人に多く見られ、特に女性に多い傾向があります。一方、腱板炎や腱板損傷は、40歳以上の人々、特にスポーツ愛好者や労働者に多く発生します。
原因
石灰沈着性腱板炎:石灰沈着性腱板炎は、肩関節の腱板にカルシウム沈着物が蓄積することにより発生します。原因は完全には解明されていませんが、血流障害や細胞死が関与していると考えられています。
加齢:加齢に伴い腱板の弾力性が低下し、損傷しやすくなります。
過度な使用:スポーツや反復動作による過度な使用が腱板にストレスをかけ、炎症や損傷を引き起こします。
外傷:転倒や重い物を持ち上げるなどの外傷が腱板を損傷することがあります。
症状
肩の痛み:初期には運動時や体重をかけたときに痛みが生じます。進行すると安静時や夜間にも痛みが現れることがあります。
可動域の制限:肩を上げたり、背中に手を回したりする動作が困難になります。
筋力低化:肩の筋力が低下し、特に腕を持ち上げる動作で力が入らないことがあります。
治療
安静と負荷軽減:損傷部位を安静に保ち、負荷をかけないようにします。
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬を使用して痛みと炎症を軽減します。
理学療法:筋力強化と柔軟性向上を目的としたリハビリ訓練を行います。
手術療法:保存治療で効果がない場合に選択されます。
変形性肩関節症
下肢の変形性関節症に比して、摩擦や摩耗による軟骨の損傷で発症します。おもに中高年 に発生し、肩関節周囲炎と同様の症状をだしますが、軟骨の変性が症状の原因であるためより効率に拘縮が出現します。
上腕二頭筋長頭炎
上肢前面の肩関節内に停止する上腕二頭筋長頭の肩関節の運動によっておこる炎症で、主に肩関節前方の痛みを出します。治療は腱板炎・肩関節周囲炎に準じて行われます。
上腕(肘・手)の疾患
変形性肘関節症/変形性手関節症
下肢の変形性関節症に比して頻度は低い疾患です。軟骨の摩擦や摩耗/過去の外傷による変形・不安定性の遺残によって生じます。軟骨の変性が症状の原因であるためより効率に拘縮が出現します。
上腕骨外側上顆炎
疫学
上腕骨外側上顆炎、通称「テニス肘」は、肘の外側に痛みを出す疾患で、腱の炎症や損傷を伴う疾患です。中高年の男女に多く発症し、特に30〜50歳の間に多く見られます。テニスやゴルフのプレーヤーに多く、職業や私生活による反復動作でも発症します。
原因
反復的な動作:手首や肘を頻繁に使う動作が原因で発症します。テニス、ゴルフ、バドミントンなどのスポーツや、ペインティング、配管作業、キーボードタイピングなどの職業的な動作が関与します。
過度な負荷:重い物を持ち上げたり、長時間の作業で手首や前腕に過度な負荷がかかることが原因となります。
不適切な動作やフォーム:スポーツや作業において、誤ったフォームや技術が腱や筋肉に余計なストレスを与えます。
加齢:年齢とともに腱の弾力性が低下し、微細な損傷が蓄積しやすくなります。
症状
肘の外側の痛み:主な症状は肘の外側の痛みです。初期には特定の動作で痛みが生じ、進行すると安静時や夜間にも痛みが現れることがあります。
握力の低下:握力が低下し、物を持ち上げたり握ったりする動作が困難になることがあります。
腫れと圧痛:肘の外側に腫れや圧痛が見られることがあります。触れると痛みが増すことがあります。
可動域の制限:痛みにより肘や手首の可動域が制限されることがあります。
治療
保存療法:安静と負荷軽減: 症状が悪化する動作を避け、肘や手首の負担を軽減します。作業やスポーツの一時中断が推奨されます。
アイシング:痛みと炎症を軽減するために、肘の外側を冷やします。通常は15〜20分間隔で行います。
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して痛みと炎症を軽減します。局所麻酔薬やステロイド注射が行われることもあります。
理学療法:筋力強化と柔軟性向上を目的としたエクササイズを行います。特に前腕の筋肉を強化し、腱への負担を減らすことが重要です。ストレッチやマッサージも効果的です。
装具療法:エルボーブレースやサポーターを使用して、肘や手首の安定性を保ち、負担を軽減します。
生活指導:正しいフォームや技術の指導、作業環境の改善が行われます。作業やスポーツを再開する際には、徐々に負荷を増やすことが推奨されます。
TFCC損傷
疫学
三角線維軟骨複合体(Triangular Fibrocartilage Complex, TFCC)損傷は、手関節の小指側に位置する軟骨構造の損傷です。TFCCは手関節の安定性を保ち、衝撃を吸収する役割を果たします。TFCC損傷はスポーツ選手や手首を頻繁に使う職業の人々に多く見られます。特にテニス、ゴルフ、体操、重量挙げなど、手首に負担がかかる活動を行う人々に多発します。一般的に、若年から中高年の成人に多く発症し、男性にやや多く見られます。
原因
外傷:手首の過度な回転や屈曲、伸展、外力が加わることでTFCCが損傷します。転倒して手をついた際やスポーツ中の急激な動きが原因となります。
過度の使用:長期間にわたる反復的な動作がTFCCに負担をかけ、微細な損傷が蓄積して損傷を引き起こします。
加齢:加齢に伴い、TFCCの弾力性や強度が低下し、損傷しやすくなります。
解剖学的異常:手首の骨や軟部組織の形態異常がTFCCにストレスをかけ、損傷を誘発することがあります。
症状
手首の痛み:特に小指側に痛みが生じます。痛みは動作時や手首に負荷がかかるときに増強し、安静時には軽減することがあります。
手首の不安定感:手首が不安定に感じられることがあります。特に手首を回す動作や物を握る動作で不安定感が強くなります。
腫れと圧痛:手首の小指側に腫れや圧痛が見られることがあります。触れると痛みが増すことがあります。
握力の低下:痛みや不安定感により握力が低下し、物をしっかり握ることが難しくなることがあります。
治療
安静と負荷軽減:症状が悪化する動作を避け、手首にかかる負荷を軽減します。作業やスポーツの一時中断が推奨されます。
アイシング:痛みと炎症を軽減するために、手首の小指側を冷やします。通常は15〜20分間隔で行います。
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して痛みと炎症を軽減します。必要に応じて、局所麻酔薬やステロイド注射が行われることもあります。
装具療法:手首サポーターやスプリントを使用して、手首の安定性を保ち、負担を軽減します。
理学療法:筋力強化と柔軟性向上を目的としたエクササイズを行います。特に手首の周囲の筋肉を強化し、TFCCへの負担を減らすことが重要です。
母指CM関節症
疫学
母指CM関節症(母指の掌側中手指節関節症)は、母指の根元にある関節(CM関節)が摩耗し、炎症を起こす疾患です。主に中高年の女性に多く発症し、特に50歳以上の女性に多く見られます。女性は男性の5〜10倍発症しやすいとされています。手や指を頻繁に使用する職業の人々や、関節に負荷をかける活動を行う人々に多く見られます。
原因
加齢:年齢とともに関節の軟骨が摩耗し、関節の変形が進行します。
遺伝的要因:家族歴がある場合、遺伝的な要因が関与していると考えられます。親や兄弟姉妹に関節症があると、発症リスクが高まります。
過度の使用:親指の反復的な使用や過度の負荷が関節にかかることで、関節の摩耗が進行します。特に親指を多用する職業や活動がリスク要因となります。
外傷:親指の骨折や脱臼などの外傷が関節の安定性を損ない、関節症を引き起こすことがあります。
ホルモンの影響:更年期以降の女性に多く発症することから、ホルモンバランスの変化が関与している可能性があります。
症状
親指の根元の痛み:親指の根元(CM関節)に痛みが生じます。特に動作時や物をつかむ動作で痛みが増強します。
腫れと圧痛:関節が腫れ、圧痛が見られることがあります。触れると痛みが増すことがあります。
関節の変形:長期にわたる炎症や摩耗により、関節が変形し、親指の見た目が変わることがあります。
可動域の制限:関節の変形や痛みにより、親指の動きが制限されることがあります。特に物をつかむ動作や細かい作業が困難になることがあります。
治療
安静と負荷軽減:症状が悪化する動作を避け、関節にかかる負荷を軽減します。
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬を使用して痛みと炎症を軽減します。必要に応じて、局所麻酔薬やステロイド注射が行われることもあります。
温熱療法:温湿布や温水浴を使用して、痛みとこわばりを軽減します。
理学療法:筋力強化と柔軟性向上を目的としたエクササイズを行います。特に親指の関節周囲の筋肉を強化し、関節の安定性を保つことが重要です。
装具療法:親指サポーターやスプリントを使用して、関節を安定させ、痛みを軽減します。
生活指導:日常生活での関節に負担をかけない動作の指導や、適切な作業環境の整備が行われます。
へバーデン結節
疫学
へバーデン結節は、指の末端関節(遠位指節間関節、DIP関節)に発生する骨の隆起で、変形性関節症の一種です。中高年の女性に多く見られ、特に更年期以降の女性にリスクが高まります。男性よりも女性に多く発症し、一般的に40〜60歳の間に発症することが多いです。家族歴がある場合、遺伝的要因も関与している可能性があります。
原因
加齢:年齢とともに関節の軟骨が摩耗し、関節の変形が進行します。
遺伝的要因:家族歴がある場合、遺伝的な要因が関与していると考えられます。親や兄弟姉妹にへバーデン結節があると、発症リスクが高まります。
過度の使用:指の反復的な使用や過度の負荷が関節にかかることで、関節の変形が進行します。
ホルモンの影響:更年期以降の女性に多く発症することから、ホルモンバランスの変化が関与している可能性があります。
関節の炎症:関節炎やその他の炎症性疾患が、へバーデン結節の発症を促進することがあります。
症状
指の痛み:指の末端関節に痛みが生じます。特に朝起きたときや長時間使用した後に痛みが強くなることがあります。
関節の腫れ:指の末端関節が腫れ、赤くなることがあります。腫れは時間とともに引くこともありますが、慢性的に続くこともあります。
骨の隆起(結節):指の末端関節に骨の隆起が形成されます。この結節は硬く、触れると痛みがあることがあります。
可動域の制限:関節の変形や痛みにより、指の動きが制限されることがあります。特に物をつかむ動作や細かい作業が困難になることがあります。
関節の変形:長期にわたる炎症や摩耗により、関節が変形し、指の見た目が変わることがあります。
治療
保存療法:安静と負荷軽減: 症状が悪化する動作を避け、関節にかかる負荷を軽減します。
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬を使用して痛みと炎症を軽減します。必要に応じて、局所麻酔薬やステロイド注射が行われることもあります。
温熱療法:温湿布や温水浴を使用して、痛みとこわばりを軽減します。
理学療法:筋力強化と柔軟性向上を目的としたエクササイズを行います。特に指の関節周囲の筋肉を強化し、関節の安定性を保つことが重要です。
サプリメント:女性ホルモンサプリメント有用性が報告されています。
装具療法:指サポーターやスプリントを使用して、関節を安定させ、痛みを軽減します。
生活指導:日常生活での関節に負担をかけない動作の指導や、適切な作業環境の整備が行われます。
腱鞘炎
疫学
腱鞘炎は、腱とその周囲の腱鞘に炎症が生じる疾患です。手首や指、足首などの関節に多く発生し、特に手や指を多用する職業の人々、デスクワークや家事、楽器演奏など、反復的な動作を繰り返す人に好発します。
原因
過度な使用:手や指、足首などを繰り返し使うことで、腱と腱鞘に過度なストレスがかかり、炎症が生じます。特にコンピュータのキーボードやマウスの使用、楽器演奏、スポーツ(ゴルフ、テニス、ランニングなど)が原因となることが多いです。
外傷:急激な動きや外力が加わることで腱や腱鞘が損傷し、炎症が発生します。例えば、転倒や衝撃を受けた際に腱鞘炎が生じることがあります。
加齢:年齢とともに腱や腱鞘が脆くなり、炎症が起こりやすくなります。これにより、腱鞘炎のリスクが増加します。
症状
痛み:腱鞘炎の最も一般的な症状は、炎症部位の痛みです。痛みは動作時に増強し、安静時には軽減します。特に朝起きたときや長時間使用後に痛みが強くなることがあります。
弾発:腱鞘の肥厚が悪化すると腱の滑走不全が生じてしまい、曲がったままもどりにくくなります。これを弾発現象とよびます。
可動域の制限:痛みや腫れにより関節の動きが制限されます。
治療
安静と負荷軽減:炎症部位を安静に保ち、負荷をかけないようにします。痛みが和らぐまで活動を制限します。
アイシング:炎症と痛みを軽減するために、炎症部位を冷やします。
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬を使用して痛みと炎症を軽減します。局所麻酔薬を用いることもあります。
理学療法:筋力強化と柔軟性向上を目的としたエクササイズを行います。特に炎症部位周囲の筋肉を強化し、腱の負担を減らすことが重要です。具体的には、ストレッチや軽い運動が推奨されます。
装具療法:サポーターやテーピングを使用して関節を安定させ、腱の負担を軽減します。
ステロイド注射:痛みが強い場合や保存療法が効果を示さない場合には、炎症部位にステロイドを注射して炎症を軽減します。ステロイド注射は炎症を迅速に抑え、痛みを和らげる効果がありますが、繰り返し使用することは避けるべきです。
デュプイトレン拘縮
デュプイトレン拘縮は、手の掌側の腱膜が硬化し指が曲がったままになる疾患で、北欧系白人の中高年男性に多く見られます。原因は遺伝的要因や生活習慣、全身疾患、加齢と性別が関与しています。治療は保存療法から注射療法、手術療法まで様々です。早期の診断と適切な治療により、症状の進行を抑え、生活の質を向上させることが可能です。
足部の疾患
外反母趾
疫学
外反母趾は、足の親指が外側に曲がり、親指の付け根が内側に突出する変形性疾患です。特に女性に多く見られ、特に中高年女性に発症率が高いです。日本においては、女性の約30%が外反母趾を経験しているとされています。遺伝的要因や靴の選択、生活習慣が発症リスクに影響します。
原因
靴の選択:ハイヒールやつま先が狭い靴を長時間履くことが原因となります。これにより、足の前部に過度な圧力がかかり、親指が外側に曲がります。
遺伝的要因:家族歴がある場合、遺伝的な要因が強く影響します。親や兄弟姉妹に外反母趾があると、発症リスクが高まります。
性別:女性は男性に比べて発症リスクが高いです。これは、女性の足の構造や靴の選択によるものと考えられます。
加齢:年齢とともに足のアーチが低下し、足の骨や関節にかかる負担が増加するため、外反母趾が発症しやすくなります。
その他の要因:扁平足や足の筋力低下、長時間の立ち仕事や歩行も発症リスクを高める要因となります。
症状
痛み:親指の付け根が痛み、特に歩行時や靴を履いたときに痛みが強くなります。
腫れと炎症:親指の付け根が赤く腫れ、炎症を起こすことがあります。圧痛が伴うこともあります。
親指の変形:親指が外側に曲がり、付け根の骨が内側に突出します。これにより、靴に当たりやすくなります。
歩行困難:足の変形や痛みにより、正常な歩行が困難になることがあります。
その他の足の問題:外反母趾が進行すると、他の足の関節や筋肉にも負担がかかり、第二趾のハンマートゥなど他の足の問題を引き起こすことがあります。
治療
靴の選択:足に合った広い靴を選び、ハイヒールや先の狭い靴を避けることが推奨されます。
インソールの使用:足のアーチをサポートするインソールやクッションを使用し、足にかかる圧力を分散させます。
痛みの管理:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬を使用して痛みと炎症を軽減します。
理学療法:足の筋力強化と柔軟性向上を目的としたエクササイズを行います。特に足のアーチをサポートする筋肉を強化することが重要です。
装具療法:矯正装具やバンドを使用して、親指の位置を修正し、関節の負担を軽減します。
生活指導:日常生活での足に負担をかけない動作の指導や、適切な休息の取り方を指導します。
アキレス腱炎・周囲炎
疫学
アキレス腱炎およびアキレス腱周囲炎は、アキレス腱とその周囲組織の炎症による疾患です。これらはランナーやジャンパー、テニス、サッカーなどのスポーツを行うアスリートに多く見られます。中高年の男性に多発し、特にスポーツを再開する際に過度に負荷をかけることで発症することが多いです。一般の人々にも、特に運動習慣が少ない中高年層で見られます。
原因
過度の使用:長期間のランニングやジャンプなどの反復的な動作がアキレス腱に過度のストレスを与え、炎症を引き起こします。
急激な負荷増加:運動量や運動強度を急激に増やすと、アキレス腱に過度の負荷がかかり、炎症が生じます。
不適切な運動技術:不適切なランニングフォームやジャンプ技術、合わない靴を使用することが原因となります。
加齢:加齢によりアキレス腱の弾力性が低下し、微細な損傷が蓄積しやすくなります。
解剖学的要因:扁平足やハイアーチなど、足の構造上の問題がアキレス腱に過度のストレスをかけることがあります。
症状
痛み:アキレス腱の痛みが主な症状で、特に運動中や運動後に痛みが増強します。安静時には痛みが軽減することがあります。
腫れと硬さ:アキレス腱周囲に腫れや硬さが見られることがあります。特に朝起きたときに硬さを感じることが多いです。
圧痛:アキレス腱を触れると痛みが増すことがあります。腫れがある場合、触れるとさらに痛みが強くなります。
運動時の違和感:ランニングやジャンプなどの運動時に違和感を感じることがあります。これにより、運動パフォーマンスが低下することがあります。
可動域の制限:アキレス腱の炎症により足首の可動域が制限されることがあります。特に足首を上下に動かす際に痛みや制限を感じることがあります。
治療
保存療法:安静と負荷軽減: 症状が悪化する動作を避け、アキレス腱にかかる負荷を軽減します。運動量を減らし、痛みが和らぐまで安静を保ちます。
アイシング:痛みと炎症を軽減するために、アキレス腱の周囲を冷やします。通常は15〜20分間隔で行います。
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して痛みと炎症を軽減します。局所麻酔薬やステロイド注射が行われることもあります。
理学療法:筋力強化と柔軟性向上を目的としたエクササイズを行います。特にふくらはぎの筋肉を強化し、アキレス腱への負担を減らすことが重要です。
装具療法:足首サポーターやテーピングを使用して、アキレス腱の安定性を保ち、負担を軽減します。
生活指導:日常生活での足に負担をかけない動作の指導や、適切な運動方法の指導が行われます。
足底腱膜炎
疫学
足底腱膜炎は、足底腱膜と呼ばれる足裏の腱が炎症を起こす疾患です。特にランナーや長時間立ち仕事をする人に多く見られ、中高年の男女に共通して発生します。肥満や足の形態異常(扁平足やハイアーチ)も発症リスクを高めます。一般的には40〜60歳の成人に多く発症し、スポーツ選手や運動愛好者に多く見られる疾患です。
原因
過度の使用:長時間のランニングや立ち仕事、歩行が足底腱膜に過度なストレスをかけ、炎症を引き起こします。
急激な負荷増加:運動量や運動強度を急激に増やすと、足底腱膜に過度の負荷がかかり、炎症が生じます。
不適切な靴:サポートが不足している靴やクッション性のない靴を履くことが原因となります。特に硬い靴底や柔軟性のない靴はリスクを高めます。
足の形態異常:扁平足やハイアーチなど、足の構造上の問題が足底腱膜にストレスをかけることがあります。
肥満:体重が増加することで足底腱膜にかかる負荷が増え、炎症が生じやすくなります。
加齢:加齢により足底腱膜の弾力性が低下し、微細な損傷が蓄積しやすくなります。
症状
かかとの痛み:足底腱膜炎の主な症状は、かかとの痛みです。特に朝起きて最初に歩くときや長時間の休息後に最初の数歩で痛みが強くなります。運動中や運動後に痛みが増強することもあります。
足底のこわばり:朝起きたときや長時間静止後に足底がこわばることがあります。動かし始めると次第に和らぎます。
腫れ:足底の腫れが見られることがあります。炎症が進行すると、かかと全体に広がることがあります。
圧痛:かかとの内側を押すと痛みが増すことがあります。特に足底腱膜の付着部であるかかとの内側に強い圧痛を感じることが多いです。
歩行困難:足の痛みやこわばりにより、正常な歩行が困難になることがあります。長時間歩いたり立ち続けたりすることが難しくなります。
治療
保存療法:安静と負荷軽減: 症状が悪化する動作を避け、足底腱膜にかかる負荷を軽減します。運動量を減らし、痛みが和らぐまで安静を保ちます。
アイシング:痛みと炎症を軽減するために、かかと周囲を冷やします。通常は15〜20分間隔で行います。
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して痛みと炎症を軽減します。必要に応じて、局所麻酔薬やステロイド注射が行われることもあります。
理学療法:筋力強化と柔軟性向上を目的としたエクササイズを行います。特にふくらはぎや足底筋のストレッチが効果的です。
装具療法:足底をサポートするインソールやアーチサポートを使用して、足底腱膜の負担を軽減します。
生活指導:日常生活での足に負担をかけない動作の指導や、適切な靴の選び方を指導します。
その他
ハイドロリリース
ハイドロリリースは、超音波装置を用いた局所治療です。生理食塩水を用いてターゲット組織を剥離し圧迫/絞扼を解除したり筋肉の滑走を改善させることを目的としています。超音波を用いた手技のためブラインドの手技よりはるかに安全かつ確実な効果が期待できます。様々な病態に適応があるとされており、当院では主に神経の滑走改善のために使用しています。
頚部のハイドロリリース
- 大後頭神経
- 頸椎神経根
- 肩甲背神経
- 副神経
肩関節周囲のハイドロリリース
- 腋窩神経
- 肩甲上神経
上肢のハイドロリリース
- 正中神経
- 尺骨神経
- 橈骨神経
腰部のハイドロリリース
- 腰椎神経根
- 上殿神経
- 上殿皮神経
臀部・鼠径部のハイドロリリース
- 大腿神経
- 坐骨神経
- 腓骨神経
靭帯損傷
四肢の靭帯損傷は、スポーツ活動や日常生活での事故などによって頻繁に発生する傷害です。特に、下肢であれば膝・足関節に後発し、上肢の関節・足部などがこれに続きます。スポーツ愛好者やアスリートに多く見られますが、全年齢層に発生する可能性があります。
原因
スポーツ外傷:サッカー、バスケットボール、スキーなどのスポーツ活動中に急激な方向転換やジャンプ、着地の際に靭帯が過度に伸ばされることで損傷が発生します。
転倒や事故:日常生活での転倒や交通事故など、急激な外力が加わることで靭帯が損傷します。
過度な使用:長期間にわたる過度な使用や繰り返しの負荷が靭帯にかかることで、慢性的な損傷が発生することがあります。
加齢:加齢により靭帯の弾力性や強度が低下し、損傷しやすくなります。
症状
痛み:靭帯損傷部位に急性の鋭い痛みが発生します。損傷の程度により痛みの強さが異なります。
可動域の制限:痛みや腫れにより関節の動きが制限されます。特に重度の損傷では関節の完全な伸展や屈曲が困難になります。
不安定感:靭帯が関節を安定させる役割を果たしているため、損傷により関節が不安定になり、体重をかけると関節が崩れるような感じがします。
変形:初期治療の遅延や不十分さから晩期の合併症として関節症様変化があり、関節の形状が変形してしまいます。
治療
保存療法:RICE(Rest:安静・Icing:冷却・Compression:圧迫・Elevation:挙上)処置が一般的でいずれも過剰な処置は逆効果になるため注意が必要です。
安静:損傷部位を安静に保ち、負荷をかけないようにします。松葉杖や装具を使用することがあります。
アイシング:炎症と痛みを軽減するために、損傷部位を冷やします。
圧迫と挙上:圧迫包帯を使用して腫れを抑え、損傷部位を心臓より高く挙げて腫れを軽減します。
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して痛みと炎症を軽減します。
理学療法:筋力強化と柔軟性向上を目的としたエクササイズを行います。特に損傷部位の関節周囲の筋力を強化することが重要です。
手術療法:重度の靭帯損傷や慢性痛への移行例で手術が検討されます。
絞扼性神経障害(手根管・肘部管・足根管・梨状筋症候群)
絞扼性神経障害は、神経が周囲の組織によって圧迫されることによって生じる一連の障害です。これには、手根管症候群、肘部管症候群、足根管症候群、および梨状筋症候群などがあげられ様々は症状を出します。
原因
手根管症候群:主に手関節に発生し、正中神経由来に症状が出現し、主に1~3指のしびれや母指周囲の筋力低下を認めます。手関節の反復的な動作、外傷、関節炎、妊娠などが原因となります。
肘部管症候群:主に肘関節内側に発生し、尺骨神経由来の症状が出現し、4~5指のしびれ・5指や握力の低下を認めます。肘関節の反復的な屈曲、外傷、肘をつく習慣、関節炎などが原因となります。特に肘を90度以上に屈曲させた状態が長時間続くと、尺骨神経が圧迫されやすくなります。
足根管症候群:主に足関節内側に発生し、後脛骨神経由来の症状が出現し、足部内側のしびれなどを認めます。足関節の反復的な動作、外傷、扁平足、腫瘍などが原因となります。
梨状筋症候群:主に股関節を凱旋させる筋肉(梨状筋)と坐骨神経の走行での絞扼で発生し、特性に肢位での坐骨神経痛などを認めます。座りっぱなしの生活、梨状筋の緊張、外傷、腰椎の問題などが原因となります。
治療
安静と負荷軽減:症状が悪化する動作を避け、神経にかかる負荷を軽減します。仕事やスポーツ活動の調整が必要な場合があります。
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬を使用して痛みと炎症を軽減します。局所麻酔薬やステロイドを用いることもあります。
装具療法:手首サポーターや肘サポーター、足首ブレースなどを使用して関節を安定させ、圧迫を軽減します。
理学療法:ストレッチや筋力強化エクササイズを行い、神経圧迫を軽減します。姿勢改善やエルゴノミクス指導も含まれます。
ステロイド注射:痛みが強い場合や保存療法が効果を示さない場合には、神経周囲にステロイドを注射して炎症を軽減します。特に手根管症候群や肘部管症候群では有効です。