• 9月 1, 2023
  • 10月 28, 2024

脊椎手術について思うこと・手術が怖いと思う人は少し手術の認識を変えてみましょう

本日は脊椎手術について書かせて頂きたいと思います。

お陰様で梶原クリニックに通院されている方で脊椎の手術が必要な方は世田谷人工関節・脊椎クリニックを紹介し、機会によって自身で手術もさせていただいております。

脊椎手術は神経を操作するためリスクが高く、あまり良くならないと言った印象はどうしてもあるため、外来でも手術はどうかとお伝えしたところ、怖い・よくならないとよく聞くなどの理由から手術を希望しない方も多くいられます。

確かに手術の効果は同じ医師が同じ手術をしても患者さんによって一様ではないことはあります。しかし、脊椎に限らず手術は基本的に安全で汎用性が高いものが患者さんに提供され、それが後世に引き継がれていることはあまり伝わっていないかもしれません。例えば、いわゆる「神の手」と言われる医師しかできない手術があるとすればその手技は一定の医師しか実行できません。そのため、その医師が手術ができなくなるとそれで終わりです。それでは、救える患者さんも救えなくなってしまうため、医療現場や開発の分野では、その卓越した技術を継承するのではなく、より安全で汎用性の高い技術で代用すること第一としています。つまり、リスクが高い・ドラマのように人間個人の能力によって差が出るなどの負のイメージがあるかもしれませんが、現在広く行われている手術は安全性と汎用性を重視しており、周術期の合併症をより少なく、重度な合併症を持つ人など、少しでも多く方が手術を受けることができるように工夫がされています。これらを踏まえて、少しでも手術への抵抗を無くしてもらえたらいいとおもいます。                                     *:ある程度のラーニングカーブはあるが、一定以上の技を習得すれば実行する人によって手術成績に差がないもの:古くから現在まで実行され基本的な手術手技や内視鏡・ロボットを用いた先端手技など

また、特に整形外科の手術は相対的な手術適応の範囲が広く、高い競技レベルでスポーツをする腰椎椎間板ヘルニアの人から、痛みなく車いす生活をするのが目標の大腿骨骨折の人もみなが相対的な手術適応と言えます。そのため、手術を受ける際に重要なのは今の自分のやりたいことは出来ているか?・将来もっと症状が悪化した際の準備はできているか?が重要と考えます(完全に私見です)。痛みやしびれのため内容は問わず本来自分ができたこと・今の自分がやりたいことややっていたことが続けられていないならば治療はstep upさせるべきと思います。また、現時点で、相対的な手術の適応と判断される場合、時間がたてばさらに変性は進行していますし、年齢もより高齢になります。その際に、手術をするのと今手術をするのでは手術方法・身体への侵襲などは早いだけ徳が多いのも事実です。

治療を患者さん個人で色々な考えがあるため、整形外科医はその考えと否定せず、すべての考えに合致できる治療を提供するのが理想です。その反面、患者さんによっては手術が不要と思っているのに医師から唐突に手術を勧められたと困惑するかもしれません。医師として患者さんの現状と手術という提案が合致していると考えれば手術を勧めることもありますし、その逆の状況もあります。最も患者さんにとって損なのは手術という治療を正しく認識せず、手術はいらない・手術してもよくならないというは考えだけで手術を選択肢の一つと認識しないことと考えます(相対的手術適応で手術を知った上で選択しない事は十分に正しいと考えます)。

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