- 8月 18, 2023
- 6月 11, 2025
頚肩腕症候群について知識を備えましょう!!
今回は頚肩腕症候群に関しての解説です。
頸椎から上腕にかけては複数の神経支配を受けており、さらに肩関節の多様な動きを支えるため多くの筋肉が存在します。それらに起因した痛みを除外した頸椎-手先にかけた痛みを頚肩腕症候群と総称されます。元々、明確な定義があるわけではないので診断や説明方法も多彩です。
■ 疫学
頸肩腕症候群は、頸部から肩、上腕、前腕、手指にかけての痛み・しびれ・だるさ・筋緊張などを主訴とする非特異的な筋・筋膜性疼痛症候群であり、明確な頸椎・肩関節由来の痛みを除外した上で診断されます。
この疾患は本邦で比較的頻度が高く、特に長時間のデスクワーク・VDT作業・単調な反復作業を行う人に好発します。
好発年齢は20~50歳代の労働者層に多く、女性にやや多いとされています。
■ 身体所見
頸肩腕症候群は多彩な症状を呈しますが、下記の兆候が見られることがあります。
1. 筋緊張・圧痛
- 僧帽筋上部、肩甲挙筋、胸鎖乳突筋、斜角筋群などの圧痛
- 特に、頸部回旋や側屈動作での痛みが誘発される痛み
- 肩甲帯の可動域制限や筋拘縮
2. 感覚異常
- 神経学的障害がなくても、手指のしびれ・異常感覚を訴えることがあります。
- 分布は神経支配に一致せず、「手がむくむような感覚」や「冷たい感じ」と表現されることがあります。
3. 自律神経症状
- 冷感、発汗異常、血流低下などの末梢循環障害に関連した症状を伴うことがあります。
4. 精神的症状
- 慢性的な疼痛は不眠、抑うつ、焦燥感などの精神障害を起こします。
- 社会的要因や職場ストレスとの関係性も多くみられるため、心身症的側面の評価も重要です。
■ 診断方法
頸肩腕症候群は除外診断を基本とする。以下の手順で診断を進める。
1. 病歴聴取
- 症状の範囲、発症契機、勤務環境、ストレス、生活習慣などを詳細に確認。
- 「特定動作後の痛みの悪化」「長時間のパソコン作業後に症状が出現・増悪」などの訴えが多い。
2. 身体診察
- 筋緊張・圧痛・関節の運動時痛などの評価。
- 神経学的所見(腱反射、筋力低下、デルマトームに一致する感覚障害)の評価。
- 頚椎症、胸郭出口症候群、頚椎椎間板ヘルニアなどとの鑑別
3. 画像検査・神経伝導検査
- 頚椎のX線、MRIを施行し、明らかな骨変形、神経根圧迫所見はありません。
- 必要に応じて末梢神経の伝導検査を行い、末梢神経障害(例:手根管症候群)との鑑別を図ることもあります。
4. 心理・職業評価
- 症状が長引く場合は、心因的要因(職場ストレス、不安)や労働条件の評価も大切です。
■ 治療
1. 生活・職場環境の改善
- デスクや椅子の高さ調整(座高は高めで深く座る・背もたれにはよりかからない)、ディスプレイ位置の見直し(少し高く・大きく・ノートPCであればセスクトップ型モニターに接続)、作業時間の分散(こまめな体位変換・ストレッチ・立位でのPC作業)など。
2. 理学療法
- 温熱療法、ストレッチ、マッサージ、運動療法が中心です。
- 頚部や肩甲帯の可動域改善・筋緊張の緩和を目的としたリハビリ指導。
- 姿勢矯正や肩甲骨周囲筋の強化も有効。
3. 薬物療法
- **NSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)**による疼痛緩和。
- 筋弛緩薬(エペリゾン、チザニジンなど)を短期投与。
- 長期化した症状に対してはプレガバリンやアミトリプチリンなど神経障害性疼痛に対する薬剤の使用も検討される。
4.ブロック・筋膜/ハイドロリリース治療
超音波を用いて適切に患部へアクセスしブロックまたは液性剥離を行います。未だ効果が確立されている訳ではありませんが、有効性が増してきており日進月歩で治療方法が更新されています
頚部痛・肩痛は特に女性で、腰痛以上に多い愁訴とされています。腰痛に比べてブロックなどの即時的な治療効果が期待しにくいため早期評価が大切です!クリニックを受診するだけでも心の持ちようが変わりますのでいつでもご相談ください。
頸椎症性脊髄症・神経根症 (jikeidaisan-seikei.com)
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