- 6月 24, 2025
- 6月 23, 2025
🦴 骨粗鬆症についてのまとめ③(骨質について) 骨強度と「骨密度」と「骨質」が大切です
こんにちは。今回は「骨質(こつしつ)」という、少し耳慣れないけれどとても大切な言葉について解説したいと思います。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、加齢や生活習慣などが原因で骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。よく耳にする「骨密度(BMD)」はその代表的な指標ですが、実は骨の強さは“密度”だけでは決まりません。
最近注目されているのが「骨質(Bone Quality)」という考え方です。この記事では、骨質とは何か、そして私たちの生活とどう関わっているのかをわかりやすくお伝えします。
骨質ってなに?
「骨質」とは、骨の構造や中身の健全さを表す指標です。
骨密度が「骨の量」を表しているとすれば、骨質は「骨の質」や「丈夫さ」を示します。
例えば…
- 骨の中の網目構造(骨梁)の並び方や密度
- 骨のしなやかさ(コラーゲンの状態)
- 微細な骨の傷が修復される力
- 骨を作る細胞や壊す細胞の働きのバランス
といった、見た目では分かりづらいけれど、骨折リスクに直結する要素がたくさん含まれています。
骨密度は高いのに骨折する?そのカギは骨質かも
近年、「骨密度は正常なのに骨折してしまった」という高齢者が多く報告されています。
その多くが、骨質の低下によって、骨がもろくなっていたケースです。
特に糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を持つ人では、骨密度が比較的保たれていても骨質が低下し、骨折のリスクが高まることが分かってきました。
生活習慣病と骨質の深い関係
- 糖尿病:血糖値が高い状態が続くと、骨の中に「終末糖化産物(AGEs)」という老廃物がたまり、骨のコラーゲンが劣化。これが骨のしなやかさを奪います。
- 高血圧や高脂血症:慢性的な炎症や血管の劣化により、骨に栄養が届きにくくなり、骨を作る細胞の働きも低下します。
こうした生活習慣病は、目には見えない形で骨をむしばみ、骨質を低下させてしまうのです。
骨質を調べるには?
現在では、以下のような方法で骨質を評価することが可能になっています:
● TBS(Trabecular Bone Score)
通常の骨密度検査(DXA)の画像から骨の中の構造を解析し、骨質の良し悪しを評価する技術です。非侵襲的で、短時間で実施できます。
● HR-pQCT(高分解能CT)
非常に細かい画像を使って骨の内部構造を直接見ることができる装置です。主に研究機関などで用いられています。
● 骨代謝マーカー(血液検査)
骨の「作り替え」のバランスを確認することで、骨の状態を間接的に把握できます。
骨質を良くするにはどうしたらいい?
骨質は後天的な要素で変化しやすいため、日々の生活習慣が非常に重要です。
✅ 食事の工夫
- カルシウム(牛乳、チーズ、小魚)
- ビタミンD(鮭、きのこ、日光浴)
- ビタミンK(納豆、緑黄色野菜)
- タンパク質(肉、魚、大豆製品)
✅ 運動習慣
- ウォーキングやスクワットなど、骨に適度な負荷をかける運動が効果的です。
✅ 生活習慣病の管理
- 血糖、血圧、脂質などを適正に保つことが、骨の健康にもつながります。
最後に:骨折予防のカギは“骨質”にもあり
骨折を防ぐには「骨密度を上げること」に加えて、「骨質を守る・改善すること」がとても大切です。
当院では、骨密度検査や血液検査に加え、TBS評価などによる骨質のチェックも導入しています。
患者さん一人ひとりの状態に応じて、より正確な診断と効果的な治療・生活指導を行っております。
骨粗鬆症や骨折が心配な方、生活習慣病をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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