• 6月 18, 2025
  • 6月 17, 2025

高カルシウム血症(高Ca血症)は、骨粗鬆症の治療で大切な合併症の一つです。正しい知識を持ちましょう。

骨粗鬆症の治療では様々は薬剤を用いて治療をしますが、合併症に顎骨壊死・非定型骨折などがあり、高カルシウム血症も重要な合併症の一つです。また、高カルシウム血症の起こしえる基礎疾患を持っている方の骨粗鬆症治療にも注意が必要です。

高カルシウム血症は、血中のカルシウム濃度が異常に高くなる状態を指し、さまざまな原因によって引き起こされます。カルシウムは骨や歯の形成、筋肉の収縮、神経伝達、血液凝固などにおいて重要な役割を果たすため、その調整が非常に重要です。

カルシウムは骨と関連の高いミネラルとして有名で、骨粗鬆症の治療でカルシウム値の推移は必ず評価が必要です。

1. 高カルシウム血症の原因

主な原因:

  1. 副甲状腺機能亢進症(PTH過剰)
    • 副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌されることで、骨からカルシウムが過剰に放出され、血中のカルシウム濃度が上昇します。これが最も一般的な高Ca血症の原因です。特に原発性副甲状腺機能亢進症が多く見られます。
  2. 悪性腫瘍(がん)
    • 一部の悪性腫瘍は、PTH関連蛋白(PTHrP)という物質を分泌し、PTHと似た働きをするため、高カルシウム血症を引き起こします。また、がんが骨に転移すると、骨が破壊されカルシウムが血中に放出されることがあります。肺がん、乳がん、腎がん、骨髄腫などが関連します。
  3. ビタミンD中毒
    • 骨粗鬆症の治療中に発生する高カルシウム血症の多くがこれに該当します。ビタミンDが過剰に摂取されると、腸からのカルシウム吸収が過剰になり、高Ca血症が引き起こされます。自己免疫性疾患の治療やサプリメントの過剰摂取によることがあります。
  4. サルコイドーシスや他の肉芽腫性疾患
    • サルコイドーシスなどの病気では、マクロファージがビタミンDを活性化し、カルシウム吸収を増加させることがあります。
  5. 薬剤性高Ca血症
    • チアジド系利尿薬やリチウムなどの薬剤が高Ca血症を引き起こすことがあります。
  6. 家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症
    • 遺伝性疾患で、カルシウムの腎臓での再吸収が過剰となり、結果的に血中カルシウム濃度が上昇する疾患です。

偽性高カルシウム血症:

偽性高Ca血症は、実際に血中のカルシウム濃度が高くないにもかかわらず、検査結果が高Ca血症のように見える状態です。これはカルシウムの結合蛋白であるアルブミンが増加している場合に起こることがあり、特に次の原因が考えられます:

  • 高アルブミン血症:脱水などにより、血中のアルブミン濃度が高くなると、アルブミンに結合するカルシウムが増加し、カルシウム濃度が見かけ上高く見えることがあります。しかし、遊離カルシウム(イオン化カルシウム)の濃度は正常であり、実際には高Ca血症ではないため、治療は不要です。

2. 高カルシウム血症の治療

治療は、原因に基づいて選択されます。軽度の高Ca血症は無症状であることが多いため、治療を要しない場合もありますが、中等度〜重度の場合は、積極的な治療が必要です。

1. 原因の治療

  • 副甲状腺機能亢進症:副甲状腺腫瘍が原因の場合は、外科的に腫瘍を切除することが治療の主軸となります。腫瘍切除が不可能な場合、カルシウム濃度を下げるために薬物療法が用いられます。
  • 悪性腫瘍:がんに伴う高Ca血症の場合、がん治療(化学療法、放射線療法など)が最優先となります。同時にカルシウム濃度を下げるための治療が行われます。
  • ビタミンD中毒:ビタミンDサプリメントやカルシウムサプリメントの過剰摂取が原因の場合は、摂取を中止します。

2.高Ca血症の治療

  • 輸液療法:生理食塩水の大量輸液を行い、尿中へのカルシウム排泄を促進します。脱水が原因となっている場合は特に有効です。
  • 利尿薬:フロセミド(ループ利尿薬)を使用し、カルシウムの尿中排泄をさらに促進します。チアジド系利尿薬は高Ca血症を悪化させるため、避ける必要があります。
  • 食事療法:カルシウムやビタミンDの摂取量を調整することが推奨されます。
  • 骨吸収抑制薬:慢性的に高Ca血症が続く場合、ビスホスホネートやデノスマブが用いられます。特に悪性腫瘍による高Ca血症に有効です。


高カルシウム血症(血液中のカルシウム濃度が高いこと) – 12. ホルモンと代謝の病気 – MSDマニュアル家庭版

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