- 11月 10, 2023
- 11月 5, 2024
仙腸関節炎について解説します。非定型腰痛(原因不明の腰痛)の中で比較的多くを占める疾患です。
仙腸関節炎は、骨盤の仙骨と腸骨を結ぶ仙腸関節に炎症が生じる疾患です。この関節は、体重を分散し、体幹を支える重要な役割を持つため、炎症が発生すると腰部や臀部に強い痛みが生じます。非定型腰痛の多くを占めるとされているものの、診断を確定することが困難で、除外診断(あれでもない・これでもないと言われて最終的にたどり着く診断)で診断されたり、他院で仙腸関節炎だと言われてリハビリをしたが全然症状がとれないなどの訴えで来院されるこもあります。この記事では、仙腸関節炎のについて詳細に解説します。
1. 疫学
仙腸関節炎は腰痛を引き起こす要因の一つであり、腰痛を訴える患者の15〜30%がこの疾患に関与していると言われています。女性・中高年者に多いとされていますが、最近では、就労に伴う座位や立位の持続・骨盤後傾などが原因となっています。
2. 身体所見
仙腸関節炎の主な症状は、腰や臀部に感じる痛みです。痛みは一側または両側に現れ、体を動かしたり、座位や立位の姿勢を長時間維持することで悪化することが多いです。以下に、仙腸関節炎の特徴的な身体所見を紹介します。
①臀部後面の圧痛
仙腸関節炎の最も多い兆候です。臀部の骨性の隆起部(後上腸骨棘)の圧痛があると仙腸関節炎を強く疑います。
②臀部・下肢の痛み
仙腸関節炎を発症すると臀部や大腿部・下腿のしびれをだします。下肢のしびれがあると腰が悪いですねと言われることが多いのですが、複数個所にpin pointで痛みやしびれがある場合、特に鼠径部に痛みなどがある際は仙腸関節炎を疑う必要があります。
③特定の姿勢での痛み
仙腸関節炎は座位や体幹前屈で痛みが出やすいとされています。また、片足立ちや階段の昇降、特定の動作(体を捻る動きや片足に体重をかける動作)で痛みが増強されることが多いです。片足に体重をかける動作で痛みが再現される場合、仙腸関節炎の可能性が高いです。
④ テストでの陽性反応
診察時には、以下のテストで仙腸関節の異常が確認されます。
- 仙腸関節ストレステスト:骨盤を左右に押し広げたり、圧迫することで痛みが誘発されるかを確認します。
- FABERテスト:股関節を屈曲、外転、外旋させる動作で痛みが再現されるかを確認します。このテストで痛みが出る場合、仙腸関節の障害が疑われます。
3. 治療方法
仙腸関節炎の治療は、主に保存療法が中心ですが、症状の重症度や原因によって異なります。早期の治療と適切な管理により、痛みを軽減し、生活の質を向上させることができます。
4.1 保存療法
装具療法:仙腸関節ベルトやコルセットを使用することで、仙腸関節を安定させ、痛みを軽減します。特に、出産後の女性や慢性的な仙腸関節炎の患者に効果が高いです。
薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛剤を用いて、炎症と痛みを抑えます。これにより、日常生活の動作がしやすくなります。強い痛みがある場合には、仙腸関節内へのステロイド注射が行われることがあります。この治療は一時的な効果が期待されますが、長期的な症状改善には再発のリスクがあるため、他の治療法との併用が推奨されます。
理学療法:腰部や骨盤周囲の筋肉のストレッチや筋力強化が重要です。骨盤底筋やコアマッスルを鍛えることで、関節への負担を軽減し、腰痛や臀部痛の軽減に繋がります。また、姿勢の改善や正しい動作を学ぶことで、再発を予防することができます。
当院でも詳しく治療しているのでいつでもご相談ください。
梶原クリニックについて↓
梶原クリニックブログ(STG) (kajiwara-clinic.jp)
ドクターズ・ファイル掲載記事 1(doctorsfile.jp)・掲載記事2 (doctorsfile.jp)
【2024年】世田谷区の整形外科 おすすめしたい11医院 (medicaldoc.jp)
診療予約はこちらから↓