- 6月 8, 2026
骨粗鬆症の治療で重要なオーラルフレイルについて解説します
骨粗鬆症は、無治療のまま高齢になると、脆弱性骨折を引き起こし、重篤なADL・QOLの障害をきたします。また、骨粗鬆症に使用する一部の薬剤は歯科治療中には使用できないとされていたため骨粗鬆症の治療をしていた方は歯科受診をためらい、歯科受診中に方は骨粗鬆症治療をためらう事が多くありました。一方で、フレイルやサルコペニアなどに代表される骨格・筋自体の脆弱化と骨粗鬆症の関連も重要であるとされており、多面的な治療が求められています。
そのため、近年、オーラルフレイルという概念が提唱され、口腔内の健康が骨を含めた全身の脆弱化を防ぐという考えが定着しつつあります。今回はオーラルフレイスと骨粗鬆症の関連について説明します。
①オーラルフレイルとは
直訳すると「口の虚弱」。むし歯や歯周病といった形の異常だけでなく、「食べこぼしが増えた」「硬いものが噛みにくい」「お茶でむせる」といった、口の機能の軽微な衰えを指します 。 重要なのは、これが「健康」と「障害」の間に位置する、適切なケアで元に戻せる(可逆性のある)状態であるという点です 。
②骨粗鬆症とオーラルフレイル
これまで「骨」と「口(歯)」は、医療の現場でも別々に扱われがちでした。しかし近年の老年医学では、これらは単独の病気ではなく、「全身の衰え(老年症候群)」の一部として地続きに繋がっていると考えられています 。
③なぜ繋がる?骨と口の「悪循環(双方向性)」
1.口の衰え(オーラルフレイル) ➔ 骨の弱帰化(骨粗鬆症)
- 栄養の偏り: 噛む力が衰えると、お粥や麺類などの柔らかい炭水化物に食事が偏りがちになります。その結果、骨を作るために不可欠な蛋白質やカルシウム、ビタミンDが慢性的に不足します 。
- 活動量の低下: 噛めない・話せないストレスから社会参加や外出の機会が減ると、全身の身体活動量が落ちます 。骨は運動による「機械的な刺激(負荷)」を受けることで強さを保つため、動かなくなると骨密度はさらに低下します 。
- 歯周病による慢性炎症: オーラルフレイルの背景にある歯周病菌などの慢性炎症は、炎症性物質を介して全身の「骨吸収(骨を壊す働き)」を促進させてしまいます 。
2. 骨の弱体化(骨粗鬆症) ➔ 口の衰え
- 土台の崩壊: 骨粗鬆症が進行すると、歯を支えているあごの骨(歯槽骨など)ももろくなります 。これにより歯がグラついて抜けやすくなり、さらに噛めなくなるという最悪のループに陥ります 。
③早期発見のためのセルフチェック(OF-5)
口の機能の衰えを早期にキャッチするため、歯科医がいなくても質問紙だけで判断できる「Oral frailty 5-item Checklist(OF-5)」という世界的な基準があります 。
下記の5項目のうち、【2項目以上】に当てはまる場合はオーラルフレイルの可能性が高いと判定されます 。
- 自身の歯が少ない(20本未満)
- 半年前と比べて固いものが食べにくくなった
- お茶や汁物等でむせることがある
- 口の渇き(ドライマウス)が気になる
- 普段の会話で、言葉をはっきりと発音できない(滑舌低下)
④予防の大切さと今日からできる対策
オーラルフレイルも骨粗鬆症(の前段階である骨量低下)も、「本格的な障害や要介護状態になる前の、最も介入効果が期待できるゴールデンタイム」です 。
1. 「しっかり噛んで食べる」ための食事と栄養
2. 「口の運動」と社会参加
3. 「医科歯科連携」の定期受診

以上、骨粗鬆症の治療や予防に役立てて頂きたいと思います。
何かありましたらいつでもご相談ください。
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